こんにちは。
体のめぐり調整師、草野ゆかりです。
中医学や漢方の基本的な考え方に「陰陽論」や「五行説」というものがあります。
この「陰陽論」「五行説」は自然に当てはめて考える、東洋医学の基本的な考え方の一つになります。
今日は、その陰と陽についてお話していきたいと思います。
自然哲学ともいわれる中医学の基本の陰陽論。
古代中国の先人たちが発見してくれた、納得のいく概念です。
陰陽論とは
陰陽と聞いて、思い浮かぶことは何ですか?
光と影、明るいと暗い、ポジティブとネガティブ・・・
そんなイメージが多いのではないでしょうか?!
陰陽論とは、
古代中国の思想で、世の中のあらゆるものを陰と陽の性質にわけて対立させたものです。
例えば、この図にあるように
・月が陰で太陽が陽
・女性が陰で男性が陽
・地が陰で天が陽
・静が陰で動が陽
・裏が陰で表が陽
なんとなく、イメージできましたか?
陰陽には、どちらが良くてどちらが悪い
みたいな概念はありません。
月も太陽も、女性も男性も、昼も夜も必要ですよね。
どちらかだけでは存在しないため、
対立し、依存し、助け合いながら
常に動いてバランスをとりあっています。
他には、体でいいますと・・・
・お腹が陰で背中が陽
・下半身が陰で上半身が陽
・左が陰で右が陽
などと分けられます。
私が、「日光はできれば背中に浴びましょう」と言っているのは、
背中には陽にあたる経絡(気血の通り道)が通っているからなのです。
この図は、「太極図」と呼ばれる図です。
黒が陰、白が陽を表しています。
黒の中に白い丸
白の中に黒い丸
がありますよね。
これは、対立しているものごとでも
陰の中には陽が、陽の中には陰があることを表しています。
例えばですが、
女性の中にも男性ホルモンは存在するし、
男性の中にも女性ホルモンは存在します。
ですので、対立しあいながらも
お互いを内包しあっているんです。
また、この陰陽の図は、一日や一年を表してもいます。
一日は、一番上が正午で、
一番下が午前0時。
陽(昼)のピークの正午を過ぎると、
だんだんと陰(夜)の割合が増えていき
午前0時に陰のピークを迎えます。
それを境に陽が増えていき、朝になっていく。
一年も同じです。
一番上が夏至で陽のピークです。
徐々に陽が減って、陰が増えていきます。
一番下が冬至で陰のピークです。
この陰陽に、人間を当てはめて過ごすのが自然の生き方になります。
陽気がさかんな昼に動けば、生命力である陽の「気」や熱を生み出す。
陰である夜間に体を休めると、陰である「血」や「水」が生み出され、体の中で修復作業を行って疲れをとってくれます。
ですので、陰である夜にきちんと睡眠をとらないと、血や水が作り出せないし、修復作業も行われず、疲れもとれません。
昼は陽らしく活発に、夜は陰らしく静かに過ごすのが養生なのです。
一年に置き換えてみても、「陽気の盛んな夏は活発に過ごし、陰が増える冬は穏やかに静かに過ごす」といった具合です。
この陰陽の考え方を使って体の不調を整えたり、
養生していくのが東洋医学なのです。
中庸(真ん中)ってどこのこと?
中医学では、この『陰陽のバランス』が崩れると、体に不調が出ると考えます。
陰と陽のどちらかが強くなってしまったり、弱くなってアンバランスになれば症状があらわれてくるのです。
バランスをとることを、
中医学では「中庸」(ちゅうよう)
という言葉で、とても重視しますが、
ピッタリ真ん中を指しているわけではなくて、
自分の体調を心地よい幅のところに収めてあげる、
という考え方で大丈夫です。
つまり、ひとりひとり、その人の真ん中である「中庸」は違ってOKなのです。
世間で言われる健康法をうのみにして
水は一日2ℓは飲みなさい、と聞いて無理して飲んでいる人はいませんか?
サウナで整える、と聞いて無理して汗をかいてはいませんか?
それは本当にあなたの体に合っていることなのでしょうか?!
かえって調子が悪くなったりするのは合っていない可能性が高いです。
足りているのか、いないのか?
簡単にいえば、足し算・引き算です。
ひとりひとり違います。
まずは自分の状態を良く知ること。
(これが結構難しいのですが・・・)
ちょっと気にするだけでも違ってきます。
少し意識を向けてみて、ゆる~く養生をつづけていきましょう。
重陽の節句「菊のまつり」
中国の陰陽の思想では、奇数は陽・偶数は陰になります。
9月9日は陽の最大数が並ぶので、おめでたいのですが、
陽が重なると邪気を生じると考えられ、それを祓う行事を行っていました。
バランスを大事にする陰陽論なので、「陽に偏りすぎても良くない」という考えからきています。
その考えは時代と共に変化し、長寿を願う菊の花のお祭りへと変化していきました。
旧暦の9月9日(現在の10月中旬)は菊の花が咲くころであり、菊と重陽が深く結びつきました。
中国の伝説では、菊の露が流れ落ちて流れる水を飲んだところ、不老長寿を得たと伝えられています。このことから重陽に菊酒を飲んで長寿を願うという習慣が始まったとされています。
これが日本に伝わって平安時代には「重陽の節会」として宮中行事として行われ、詩歌を作り、菊の花を観賞したり、不老長寿の薬効があるとされる菊酒を飲んだりしていたのです。
紫式部の日記にも、この行事での藤原の道長の妻とのやりとりが書かれています。
江戸時代に決められた五節句のうち、唯一旧暦と新暦の季節感の違いにより影をひそめてしまいまった重陽の節句ですが、季節感があるのでぜひ復活してもらいたいですね^^
菊の花は現代でも生薬の「菊花」として漢方薬に使われています。
菊花は苦味・涼性の性質をもっており、
解熱、体の上部の炎症や眼病の改善の作用をもっています。
薬膳茶の菊花茶も同様に、頭痛やのぼせ、目の充血や乾燥に良いとされています。
ハーブティーでおなじみの、カモミール(キク科)も
リラックスや鎮静、抗炎症効果があるそうです。
菊の香りに包まれてリラックスするのも良いですね!!
まとめ
陰も陽も良い悪いはなく、すべてバランスです。
そのバランスもちょうどいい位置というのは人によって異なります。
そして、絶えず変化をしています。
自然の法則にしたがい、内なる声を聴いて、
バランスをとって元気に過ごしていきましょう!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また~
おさらばいたします。
コメント